労働時間について現在、あなたは毎月の時間外労働をどのくらいしていますか?

 また時間外労働と給与明細をしっかり確認していますか?

 

 今回はこんな悩みを持った方におすすめです。

今回はこんな悩みを持った方におすすめです!
  • 週休1日制で働いているけど、法律的に大丈夫なのか疑問に思う。
  • 休日出勤、深夜出勤してるけど給与の割増分はあってるのかわからない。
  • 給与計算の仕方がわからない。

 

 労働組合の執行委員を6年努めている経験から、お話しします。

知らないでは済まない。サラリーマンの休日労働と給与計算方法

 

労働者は基本的に毎月の労働時間と超勤時間について決められています。それを超えて労働した場合労基署から指導がはいります。この場合雇用主が罰金刑に処せられます。しかし多くの人はバレなきゃ大丈夫だろうと、サービス残業をしてしまう人がいます。しかし本当にそれでいいのでしょうか。雇用されるということは、働いた分きちんと対価を支払ってもらうことができます。その権利を放棄した段階で自分も会社側も損していることになるのです。

これだけ抑えなければいけない!!「法定休日」と「法定外休日」

 

「法定休日」と「法定外休日」その内容

  会社の多くは週休2日制度を取り入れています。しかし中には週休1日の会社もあります。

  このことに「法律的に大丈夫なの?」と不安を持つ人もいるかも知れませんが、これは法律的に大丈夫です。

  では詳しく説明します。まず休日の種類についてです。

  休日には2種類あります。【法定休日】【法定外休日】です。

  ・【法定休日】とは

   労働基準法で定められている労働者の休日の事です。

   法定休日は1週間に1日。例外として、4週間を通じ4日以上の

   休日が法的に認められています。会社が法定休日をいつにするか決めることができます。

 

  ・【法定外休日】とは

   法定休日以外の休日、「法定外休日」は会社が自由に定めることのできる休日を言います。

   例えば、祝日や年末年始休暇、夏季休暇、GWそして土曜日です。

   土曜日を法定外休日とし日曜日を法定休日として企業は多くいます。これが週休2日制度です。

 

「法定休日労働」のルールと運用

法定休日労働について

 法定休日労働には3つのルールがあります。

①非常災害時

 災害その他避けることのできない事由によって臨時に必要がある場合。

 使用者が労働基準監督署長の事前許可を得ること(法33条1項)

②公務上の必要がある場合

労基法の適用事業に該当しない官公署の公務員についての規定。(法33条3項)

③36協定の定めによる場合

使用者と労働組合又は労働者の代表との協定に基づいて休日労働をさせることができる(法36条)

必要な理由、業務の種類、労働者の数、休日労働の対象となる。

休日、協定の有効期間等を定めて労働基準監督署長に届け出ることが必要(法施行規則16~17条)

 

実際に会社が決めた法定休日が祝日と同じ日になってしまった時、どのような運用がされているのかを見ていきます。

   

例① 日曜日が法定休日の場合、日曜日が祝日で出勤した時、祝日でも法定休日出勤になります。

例② 金曜日が法定休日の場合、金曜日が祝日で出勤した時、法定休日出勤になります。

例③ 木曜日が法定休日にした場合、金曜日が祝日で出勤した時、法定外休日出勤になります。

※法定休日の日付は会社が決めることができます。ただし必ず1週間に1日、例外として1ヶ月に4日の休日を

設定しなければなりません。

 

 ではなぜ「法定休日出勤」と「法定外休日出勤」の区分けが必要かと言うと給与の割増分が変わるためです。

 次に割増料金について説明します。

 

「時間外労働」と「休日労働」のルールと割増率

  

割増分と時間外労働の関係

 

  前項で「法定休日」と「法定外休日」のお話をしましたが、法定休日に出勤することで割増分の給与が支払われます。

 ・「法定休日労働」すると

   時給の35%割増(時給×135%×労働時間)になります。

  ・「法定外休日労働」すると

   時給の25%割増(時給×125%×労働時間)になります。

   ただし1周間の労働時間40時間を超える事が条件になります。

   ポイントは法定外休日の労働は1週間の上限である40時間を超える労働になるかどうかということです。

 

 例えば、図の上段1日8時間労働とすると5日間で40時間になり1週間の上限40時間に達します。

 よってそれ以上の労働について土曜日出勤(法定外休日)は上限の40時間を超えているので時間外労働になります。

 

 しかし、図の下段1日7時間労働とすると、5日間で35時間となり、上限の40時間未満になります。

 もし会社が勤務体系を週休1日とし、土曜日だけ5時間勤務とする場合は1週間の上限の40時間に収まるので

 土曜日に勤務しても、割増分の給与は支払われないことになります。

 

実際の就労規則

 

 上の図はある会社の就労時間です。

 会社の就業規則として、1日の労働時間と法定休日について労働基準法の範囲内なら、労働時間と法定外休日は会社で

 自由に決めることができます。

ある会社の就業規則(※一部抜粋と編集したものです)

 ①1日の就業時間は7.5時間

 ②週休2日とし、土曜日を法定外休日とし日曜日は法定休日とする。その他の休日は暦通りとする。

  また、就業規則等に振替休日の定めをすること。

 ③1日の就業時間を超える労働、また休日の労働時間に関しては労働者と36協定を結ぶこと。

 上記の就労規制について説明していきます。

 ①1日の就業時間は7.5時間。1週間の労働時間は37.5時間になります。

   それを超える労働は時間外労働になります。1日7.5時間以上の労働をするとその労働時間は超過分になり

   時給の25%割増(時給×125%×時間数)が労働者に支払われます。

 

 ② 会社は土曜日を法定外休日としているので、土曜日に労働すると法定外休日労働(時間外労働)になります。

   よって土曜日の労働時間は時給の25%割増(時給×125%×時間数)になります。

   日曜日の法定休日労働について日曜日に労働すると法定休日労働になるので

   時給の35%割増(時給×125%×時間数)になります。しかし、1週間に1日休日、又は1ヶ月に4日休日が

   決められているので、その月のどこかで振替休日又は代休を取らなければいけません。

 

 ③ 36協定とは労働基準法の36条の記載されている事柄になります。

   以下要約

 使用者(会社側)と労働組合(労働者)の間に合意の元、書面による協定(時間外労働、法定休日における労働)

 を締結しその書面を労働基準監督署に届け出る事になっています。この届け出により時間外労働、休日労働の

 免罪となります。

 

 ここでの使用者とは社長のことになり、組合側とは組合の代表者(組合委員長)になります。

 この36協定を無視した労働は6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金の刑罰が法律上定められています

 罰則の対象者は労務管理している管理職や部門を統括している部長、社長などです。

 内容によっては、書類送検されることもあります。

 

※中小企業は、2023年3月31日まで適用が猶予されているルールですが

 【1ヶ月の労働時間が60時間を超えた分には50%の割増分が支払われます】。大企業はすでに始まっています。

 

給与計算の具体例

 

 これまで休日の労働とそのルールについてお話してきました。

 次に実際の給与計算についてお話していきます

 

 

 上記の図は1週間の勤務時間から給与の計算をしてみます。

 時給は1,000円とします。

 就業時間(日勤)9:00〜18:00:(夜勤)22時〜翌日5:00

 就業中の休憩時間は1時間認められる

 連続勤務8時間を超えないように1時間が認められる

 

【月曜日】

日勤:8時間 ・休憩:1時間 ・時間外労働:2時間

  {時給×労働時間}+{時給×労働時間×時間外労働割増分25%}

       { 1,000円×8時間}+{1,000円×2時間×125%}

        8,000円+2,500円=10,500円 

 

【火曜日〜水曜日の連続勤務】

時間外労働:2時間 ・夜勤:6時間 ・休憩:2時間

時間外労働:2時間  ・日勤:8時間  ・休憩:1時間

      {時給×労働時間×時間外労働割増分25%}+

      {時給×労働時間×深夜労働割増分25%}+{時給×労働時間}

      {1,000円×4時間(火曜日と水曜日合わせた時間)×125%}+{1,000円×6時間×125%}+{1,000円×8時間}

         5,000円+7,500円+8,000円=20,500円

 

ポイント

深夜勤務からの連続勤務において、日勤までの間は時間外労働(25%の割増分がある)になりますが

翌日の日勤からは割増分がなくなります。

 

【金曜日】

 

・日勤:8時間 ・休憩:2時間 ・時間外労働:5時間(内深夜労働:2時間)

  {時給×勤務時間}+{時給×労働時間×時間外労働割増分(25%)}+

  {時給×労働時間×(時間外労働割増分(25%)+深夜労働割増分(25%)}

  {1,000円×8時間}+{1,000円×3時間×125%}+{1,000円×2時間×150%}

   8,000円+3,750円+3,000円=14,750円

 

 

【日曜日〜月曜日の連続勤務】

(日曜日の勤務状況)・休日労働:13時間(内深夜労働:2時間) ・休憩:2時間 

(月曜日の勤務状況)・時間外労働(深夜労働):4時間 ・休憩1時間

  {時給×労働時間×法定休日割増分(35%)}+

  {(時給×労働時間×(法定休日割増分(35%)+深夜労働割増分(25%)}+

  (時給×労働時間×深夜労働割増(25%)】

  (1,000円×11時間×135%)+②(1,000円×2時間×160%)+③(1,000円×4時間×125%)

    14,850円+3,200円+5,000円=23,050円

 

ポイント

法定休日の勤務について割増がついて時給が135%もらえますが、法定休日の0時〜24時までの間になります。

今回の法定休日労働は9時から24時まで間に13時間勤務していたので、その労働時間に対して割増が時給135%

(内2時間は深夜勤務2時間していたので、法定休日割増35%+深夜労働割増分25%=60% 時給160%分が支払い)

になっています。しかし、0時を過ぎると月曜日なので法定休日分の法定休日割増35%分は付きません。

深夜労働割増分の25%(時給125%)が労働時間分支払われます。

まとめ

まとめ

 ・労働者の決められた休日は1週間1日、例外として1ヶ月に4日と決められています。

 ・時間外労働や休日出勤をするには、36協定を労使間(会社と労働者)で結ぶ必要があります。

時間外残業の割増率一覧

・週40時間、1日8時間を超えたら25%割増の残業代が発生します。(1時間あたりの賃金×125%×時間数)

・法定時間外労働(1ヶ月60時間を超えた場合)50%

 ※代替休暇取得の場合25%(中小企業は2023年3月31日まで猶予

・深夜労働 25% ※午後10時から午前5時まで労働した場合

・法定休日労働 35% ※8時間を超えても時間外労働の25%割増は加算されない

・法定時間外労働+深夜労働(25%+25%=50%)

・法定時間労働(1ヶ月60時間を超えた場合)+深夜労働(50%+25%=75%)

・法定休日労働+深夜労働(35%+25%=60%)

 

しっかり時間外手当がもらえているのかを給与明細をみて確認してみてください。

実際に経理が間違っていたというケースもあります。稼いだ分はしっかりもらいましょう。

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